ユニバーサルデザイン

気づきの部屋

身体特性の違いに思いをはせてみましょう
ユニバーサルデザインの必要性を少しでも感じていただくために、様々な身体特性を持つ人になったつもりで、日常生活を考えて見ましょう。
ここでは次の5つのケースを考えて見ます。どんな場面でうまくいかないかを見てみましょう。

 

【高齢者】の場合

スーパーへ買い物に行きました ―――――
◎欲しい商品はどこ? 店内の案内表示の文字が見にくくて良くわかりません。
◎商品が、棚の少し高いところや、低いところにあれば、思うように手が伸びず届きません。
若いときは問題なく取れていたのに。
◎財布から小銭を出そうとすれば指先が上手く動かず、取り出せません。
◎レジ袋に買った物を入れようとすれば、指先がうまく動かないのでなかなか開けられません。

買ってきた食品を、食べようと思います ―――――
◎パッケージの開け方が良くわかりません。開け口表示が良く見えません。
◎瓶入り食品の蓋が滑って開けられません。
◎ペットボトルのお茶、2L入りがお買い得だったので買ってきたけど、重いし、持ちにくいし、
上手にグラスに注げません。
◎調理方法の記載、字は小さく色も見にくいし、あげくに説明文が難解で美味しく調理できません。

高齢者の身体特性(代表的なもの)

●手・腕の可動範囲が狭くなる
●視野が狭くなる、視点が低くなる
●握力低下で物が掴めない、握れない、つまめない
●筋力低下で重い物が持てない、持ち上がらない
●しゃがめない、座れない、立てない
●霞む、二重に見える、まぶしい(老視や白内障が顕著)
●青系統と黄系統の色が識別しにくい
●高音域が聞こえにくい
●触覚低下により、熱や痛みに気付かない
(→怪我、やけどに鈍感、処置手遅れに)

 

【上肢障害】の場合

同じく買い物の事例では? ―――――
◎手、指の細かい動きが困難です。握力も弱いことが多いので、棚から商品を手に取る、
財布から小銭を取り出す、袋を開けるなどは高齢者同様難しいことになります。

食べるときは? ―――――
◎指先に力が入らないし、うまくつまめないので開封しにくいし、飲料をグラスへ注ぐのがとても難しいです。

※容器の形状や、材質、容量によっては持つことが出来ない、開封できない等の困難があります。

上肢障害の身体特性

上肢障害があると、両手でないと出来ない作業・操作、腕を高く上げる作業、腕を大きくひねる、
回転させる作業、指先を細かく動かす作業、大きな力が必要な作業などに困難を伴います。

 

【視覚障害】の場合

案内表示やパッケージでは? ―――――
◎売場の案内表示やピクト図が小さく良く見えません。
◎パッケージの開け方がどこに記載されているか不明だし、開け口もわかりません。
◎音声ガイド、点字などの触覚による情報表示等が併記されていないと著しく不便です。

その他 ―――――
◎言葉のわからない外国人が買い物するとき何が頼りですか?
視覚情報に頼る方が大部分かと思います。そんな時、肝心の情報が見えない、見えても判読できない、
日本語表記だけで、図や写真による説明も無いでは困りますね。
図や写真があっても、サイズが小さかったり、色使いが判別しにくかったり、ちょっとしたことで一部の
ユーザーにはとてつもないストレスを与える場合がある、ということをお忘れなく。

視覚障害の身体特性

視覚障害とは全盲や弱視のことを指し、具体的には視力障害と視野障害を併せて視覚障害といいます。
広い意味では色覚異常や光覚障害も含めて視覚障害と呼ぶ場合もあります。
ものを見るという行為に困難を伴います。また光をまぶしく感じることも多く、照明環境等が大きな影響を及ぼします。

 

【聴覚障害】の場合

駅や電車の中にいます ―――――
◎遅延が生じたとき、放送だけで案内されても何が起こっているかわかりません。
◎周囲の人たちの動きを見ていると余計不安になることもあります。
◎視覚による情報表示等が併記されていないと著しく不便です。

買った商品に気になることやわからないことがありました ―――――
◎パッケージに書かれている問い合わせ先が電話番号しかありません。
◎インターネットで探してもホームページやメールアドレス、FAX番号が見つかりません。
◎郵便で問い合わせるか、買ったお店で尋ねるか、誰かに電話をかけてもらうしかないのでしょうか。

その他 ―――――
◎読唇ができる人でも、会議で発言する人が口元を隠していたり、正面から顔が見えないと、唇の動きが読めず内容が理解できません。
◎非常ベルが鳴っても全く気が付かないことがあります。目に見える赤いランプや「緊急避難」などの文字表示が必要です。

聴覚障害の身体特性

聴覚障害には、ろう(聾)、高度~中度~軽度の難聴など程度の違いがあります。
成長してから聴覚を失った中途失聴、加齢により聴力が衰える(耳が遠くなる)老人性難聴もあります。
補聴器を使う人でも声や音が明確に聞こえないこともあり、必ずしも音量だけの問題ではありません。

 

【車いすユーザー】の場合

買い物に出かけていくと? ―――――
◎スーパーへ到着するまでに様々な障害があります。車道と歩道の段差、歩道の幅が狭くて車椅子で
通行するのが困難なこともあります。
◎店舗内の通路幅が充分でなく方向転換すら難しいかもしれません。
◎やっと見つけた製品も車椅子からでは手が届かないことも多々あります。

車いすユーザーの身体特性

●座った姿勢のため視点が低く子供に近い視点となる
●手、腕の動作が著しく制限をうける場合が多く、手の届く範囲が狭くなる
●特に低い位置は前に転倒の危険性が大きい
●座席前方に足板、レッグレストがあり、対象物に接近しにくい
●歩行に際し最低900mmの幅員が必要
●回転に要する幅員にも考慮が必要
●2cm以上の段差は自力で乗り越えることは難しい
●排水溝等の溝は車輪がはまると移動困難になる危険性が高い


>>> UDをとりまく法令や標準(規格)

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