Vol.139 関連意匠制度
今回の「知財くんがゆく」のテーマは、令和元年意匠法改正の「関連意匠制度」についてです。デザイン保護委員会の委員、鈴木正次特許事務所 山本典弘弁理士のコラムです。(編集・文責:デザイン保護委員会)
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(ロゴデザイン:大谷啓浩)
知財くんがゆく 第9回
関連意匠制度 その1
デザイン保護委員会 山本典弘
はじめに
令和元年意匠法改正(施行日2020/4/1)で、関連意匠制度は大幅に変わりました。今回はまず、関連意匠の出願日の期限について、解説します。
関連意匠として出願可能な日は「本意匠の出願の日(以下「出願日」と略します)から10年を経過する日前まで」と改正されました(意匠法10条1項)。
本題の前に
本題に入る前に、前提について少々説明します。
意匠権の効力は同一だけでなく類似する範囲に及びます(意匠法23条)。意匠法では、先に意匠Aを出願した者に意匠権を与え、後から意匠Aと同一又は類似の意匠Bの出願した場合、意匠Bの出願は拒絶されます(意匠法9条)。なお、意匠Aの出願と意匠Bの出願が同日の場合には、両者協議して決めることになります。
ただし、意匠Aの出願人と意匠Bの出願人が同一の場合には、(先後願の条件だけ考えれば)「意匠Aを本意匠とし、意匠Bをその関連意匠」とすることにより意匠A、意匠Bの両方が登録になります。これが関連意匠制度の機能の一つです。
これまでの改正と今回の改正
最初に関連意匠制度が入った平成10年改正時には、本意匠(意匠A)と関連意匠(意匠B)は「同日出願」が条件でした。それが平成18年改正で緩和され「関連意匠(意匠B)の出願は、本意匠(意匠A)の意匠公報が発行される日の前日まで」となりました。
そして、令和元年改正では、「本意匠(意匠A)の出願日から10年経過する日の前日」とさらに緩和されました。言い換えますと、これまで、本意匠の意匠公報が発行されたら、関連意匠の出願ができなかったが、意匠公報が発行されてても関連意匠の出願が可能となった取り扱いです。
なお、令和元年改正前の「意匠公報が発行される日」は、法律上は明確ですが、公報発行日は予告されないので、「いつ意匠公報が発行される日の前日」が来るのか正確にはわからない状況でした。意匠登録料納付日(事例では2016/3/4)から意匠公報発行日の大まかな予測はできましたが・・・。
事例紹介

参考図で説明しますと、本意匠は、2025/8/6に出願し、審査を経て「登録査定」となり30日以内「登録料納付」すれば、登録日に設定登録されて、その後、意匠公報が2016/4/11に発行されます。したがって、令和元年意匠法改正前は、公報発行日の前日である4/10まで関連意匠の出願が可能でした。
それが、本意匠の出願日2015/8/6から「本意匠(意匠A)の出願日から10年経過する日の前日」である2025/8/5まで関連意匠の出願が可能となりました。
このように、本意匠が「改正前の出願日」であっても関連意匠の出願日が改正後であれば、改正法の適用をうけることができます。
まとめ
特許庁HPの「令和元年意匠法改正特設サイト」によれば、改正後の出願(2020/4/1)で、2025年11年6日現在の件数によれば、
・本意匠の公報発行前の出願 18,395件
・本意匠の公報発行後の出願 4,546件
年間の意匠出願が毎年3万件弱ですので、公報発行後の出願もそこそこ(?)増えているようにも思いますが、まだ、皆さん様子見(?)の印象です。
次回以降では、本意匠の意匠公報発行により、関連意匠は新規性を失わないのか?(→失いません)など、解説します。
以上
令和元年意匠法改正については、特許庁「令和元年意匠法改正特設サイト」で詳しく紹介されています。
https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/isyou_kaisei_2019.html
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