「昔取った杵柄」にご用心…いつの間にか「老い」がすぐそこに!
久しぶりにバイクでツーリングに行ってきました。若かりし頃、ひたすら走っていた時のことを思い出してしまいました。20代から住み始めた千葉県を起点に何度にも及ぶツーリングの末、日本中、北は北海道から南は沖縄まで全都道府県を走破しました。当時のバイクは125cc(原付2種)だったので高速は走れず下道ばかり。とはいえ、道はどこまでもつながっています。九州へは関門海峡トンネルを使って陸路?で上陸。北海道、四国、沖縄へはやむなくフェリーを利用。東京の有明から沖縄までのフェリーは、昼に出航して翌々日の昼まで48時間ずっと海の上、今思えば贅沢な時間の過ごし方だったような。
さてさて、この「よもやま話」はバイク雑誌に投稿されるようなツーリングレポートの類ではありません。ユニバーサルデザインに対する「気づき」、というか「昔取った杵柄」は最早通用しなくなっている、自らの老化を思い知らされてしまった瞬間の報告です。
バイクは日常的に利用していても、遠出をするのは本当に久しぶり。20年以上乗ったかつての盟友125ccから、今は高速も走れる中型二輪。高速道路は二人乗り走行もできるのでタンデムで出発!
お天気も良く快調に走行、とはいえ休憩が多い、一回の休憩も長い。かつては、駐在していた仙台から海沿い経由で千葉への帰省も、年末の寒い時期であろうと福島県いわき市辺りで一回休憩するだけ(下道なので赤信号の度には止まっている)。オフロードバイクを駆って8時間で走っていたのは今は昔、50歳も数年過ぎるとそんな体力は最早ありません。以前はガムシャラにただただ走っていたのが、楽しみ方が変わっただけ、と言いたいものの、実際はカラダがついていかずに変えざるを得なくなっただけかもしれません。一時間も走れば目は疲れる、腰は痛くなる、肩は凝る。トイレも近くなるし。心地いいはずの「風」も高速走行中の向かい風や横風は「抵抗」「障害」、マシンがぶれないように必死になったりすることも。若い頃はなんだか急いでいたよなぁ、と休憩所でのんびりしながら感慨にふけってしまいます。
往路はウキウキ気分も手伝ってか疲労もそれほどでもなく、楽しい旅を楽しめます。問題は帰路。思った以上に疲れが出てきます。首都高は二人乗りができない区間があるので、一旦高速を降ります。ETCなどついていないので、人のいる料金所へ。ウェストバック(今どきウェストバッグはダサイという人もいますが、ライダーにとっては便利なツール。スタイルより機能優先!)から通行券と小銭を取り出します。ササッと支払いを済ませて颯爽と走り去る、はずでした。
手袋をしていると小銭はつかみにくいので当然はずします。ところが素手でも小銭がつかめない!指先に思うように力が入らない!サービスエリアでの支払いはパートナーに任せていたので気がつかなかったのか!(そういえばアメリカンドッグを落としそうになった) 後ろで待つ車を気にしながら結局モタモタと支払いを済ませて料金所を抜けるのでありました。
普段ガソリンスタンドで給油の支払いをする際、セルフでも有人でもこんな経験はなかったのにぃ。久しぶりのツーリング、高速走行、向かい風も結構きつかった、ちょっと非力なバイクでのタンデム走行、などいろいろな条件が重なった結果なのかもしれませんが、結構ショック。スポーツジムで有酸素運動や筋トレを定期的にやっていただけに落胆は大きい。使う筋肉が違うんですよね。
帰宅後にはさらなるショック。その晩の食事、手首に力が入らず箸が思うように扱えない。スプーンを使ってなんとか済ませ、入浴後に手首(腱)にハップ剤を貼りましたが、翌日もしばらく不都合がありました。顔を洗うときに手の平で水が掬えない(ダダ漏れ)、ペンで文字がうまく書けない、小さなビンの蓋が開けられない―――期せずして「気づき」を与えられてしまいました。
今回の「障碍(しょうがい)」は、疲労による一時的なもの。故障が慢性化したり、老化が進んだりするとこれが日常になってしまいます。できていたことができなくなる。できていたから余計ストレスが貯まるのかもしれません。一定のアンチエイジング(体力維持)は自助努力でもできます。「健康長寿」のためにもバランスの良い適度な運動、節制が必要だと再認識しました。ジムに通っても得意なことばかりをやっているとアンバランスになってしまいます。
子どもの運動会で張り切って走ったものの足がもつれて転倒するお父さん。おもしろビデオに投稿するぐらいなら笑い話で済みますが、大怪我につながることもあるので「昔取った杵柄」にはくれぐれもご用心を。
(記:中越 出)
おまけ(実はもっとショックなこと):
なぜ首都高のこんなところに止まっているか、というと生まれて初めてガス欠で立ち往生。生まれて初めてJAFのお世話に。
錆びついていたのは指先だけでなく、リザーブコックにしてからどれだけ走れるかの勘も(単なる計算ミス?)。
この原稿のために撮影に出かけたお陰で、これまでにない体験=「気づき」ができました。