情報の森コラム

続・捨てられるパッケージ達!「バーベキューのあとで…包装ごみと環境を考える」

[エコ/サステナビリティ] 2011.4.16

私の住んでいるところは東京の西のはずれ。近くを多摩川の渓流が流れ、夏になると大勢の行楽客(大半はバーベキュー目当て)で賑わいます。地元自治会ではボランティアで年に数回河川敷の清掃をしたり、毎月資源回収として家庭から出たゴミのうち、再利用できるビン、缶、新聞、雑誌、雑紙などを回収しています。私も時々お手伝いをしますが、パッケージに関わる仕事の立場でみると環境に対する包装のあり方を考えるに恰好の場といえます。またどこの自治体でも家庭ごみは分類ごとに回収日が異なり、多いものでも週1回、少ないものでは月に1回程度しか回収されず、それまでは家庭に保管しなければなりません。そこで気になった点を河川の散乱ゴミや資源回収ゴミ、家庭ゴミに分けて考察してみたいと思います。

河川敷の散乱ゴミでよくみかけるもの

タバコの吸殻、飲料キャップ、缶、PETボトル、使い終わったコンロのガス缶、菓子類の紙容器や袋の切れ端。ひどいのはバーベキューのあとに残った生鮮用プラトレーや調味料、油の染み付いたキッチンペーパー、生ゴミを入れたゴミ袋までも置き去りに。

<考 察>
①分離したものはポイ捨て心理を助長する
散乱しない、させない工夫として、開封後の包装の切れ端(紙のジッパーやフィルムのテープなど)が本体から分離しない工夫があればポイ捨て防止の一助にはなるのでは。(少し昔まで飲料缶のフタはプルタブで缶から分離していたものが、ステイオンタブに変わってからプルタブの散乱が無くなりました。同じことが他の容器で考慮されてもいいですね)

②汚れたものは持ち帰りたくない
使用後に残り汁などが浸出しにくい工夫や、最後まで使い切れて容器の隅などに内容物が残らないようになっていれば、せめてごみの集積場所くらいまでは持っていってくれるのでは。自分の車を汚したくないからという理由だけで公共の場を汚している自分勝手な人でも、車を汚さなければ持ち帰ってくれるという良心を持っていると信じたい。

③かさばるものは持ち帰りたくない
コンパクトにたためる、たたみやすい工夫(汚れた面を内側にして)。最近はケイ線が入ってつぶしやすい構造にした食用油のPEボトルやティッシュの箱、牛乳カートンなどをみかけるようになりましたが、捨てる側が面倒なのか、そのままにしていることが多いようです。

回収ゴミによく出されるもの

やはりビール類。中は空っぽなのでカサがすごい。つぶしてあることはマレで、たまにつぶしてあっても金属のカドが手に刺さったりして危ない。中を水ですすぐことになっているのですが、すすがずにそのままにしているものも多く、中身がわずかに残って夏場はにおいが大変。ゴキブリが出てきたりもします。分別の際にリサイクルマークをみてスチールかアルミかを区別するのですが、表示位置がマチマチで探しづらい。

<考 察>
①かさばる
角を立てずにつぶせる工夫

②すすぎにくい
飲み口をもう少し大きくし、すすぎ水が排出しやすいよう隅に水がたまらない工夫

③分別しにくい
リサイクルマークの位置を統一する

家庭ごみで気になること

カサがばかにならない。
あっという間にゴミ箱に入りきらなくなります。生鮮のラップ、トレーから調味料の箱、内袋、ビン、缶、プラ容器…。つぶれないものがかさばるのは仕方ないとしても紙容器や袋、食品ラップのフィルムなど、一度つぶしても平面にならず、小さく丸めてもムクムクと復元してもとのかさに戻ってしまいます。

<考 察>
①たたみやすい、バラしやすい紙容器
BOXティッシュの箱、牛乳の紙容器などでは見られるようになりました

②つぶすと平面になるプラトレー

③つぶすとコンパクトになるプラボトル
ひねりつぶせる極薄肉のPETボトルやケイ線の入ったPEボトルが出てきました

④小さく丸められてカサが復元しない
フィルムや紙容器

分別が大変
仕分けて、はがして、分解して、洗ってと、その手間たるや大変なもの。
ビンから外れないプラキャップ、きれいに剥がれないラベルやフィルム、手を切りそうな金属フタ。そのためか分別のための工具まで売っていたりします。

まとめ
最近、環境といえば必ず出てくる3R。Reduce(減容化)、Reuse(再使用)、Recycle(再生して再利用)をもっとうまく循環させるために必要なことは何か、を設計時に真剣に考えるときがきているのではないでしょうか。
たとえばReduce。
包装時の減容化だけでなく廃棄時の減容化にも配慮していきたいですね。設計の段階で ・つぶしたくなる容器 ・たたみたくなる容器 ・持ち帰ろうという気にさせる容器(汚れない、汚れや内容物の残りが浸み出さない、かさばらない)であれば(たとえばパーソナルユースのものならポケットに入る大きさまで小さくできる等)、その場で捨てたりせずに少なくともごみ箱のあるところまでは持ち帰るのではないでしょうか。
Recycle;分別の負担を軽減する設計として分別しやすくすることはもちろん、分別の必要をなくす(素材の単一化、統一化)工夫も。(そういえば有名な乳酸菌飲料のフタのアルミが本体と同じプラスチックに変わりました。)

河川敷の清掃や資源回収で学んだこと

自分達の町は自分達できれいにする。大袈裟に構えるのでなく、日課のように。地域の人同士のコミュニケーションを楽しむかのようにニコニコと談笑しながら、子供たちも大人も一緒になってやっています。モラルに期待する前に、文句をいう前に、さっさと片付けてしまいます。小さなごみも放っておかない。汚れたところにごみは集まるものだから。もちろんモラルは大切だけど、モラルを身に着けるためには、町の清掃や家のゴミ出し、分別に関わってみるのが一番。できれば子供のうちから。そしてもちろんパッケージや商品開発に携わる人こそもっと地域の清掃活動や家事に積極的に関わるとよいと思います。きっと容器設計に反映できるヒントがたくさん得られること間違いありません。いっそJPDAの会員のみなさま。年間行事として、東京マラソンや花火大会、お祭りなど人の大勢集まるイベントにボランティア参加してゴミの回収をしてみてみませんか。

(記:斎藤郁夫)

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