情報の森コラム

食べ物のエコを考える。「コラッ!残さずに食べなさい!!」

[エコ/サステナビリティ] 2014.9.22

小さい頃、よくオフクロに叱られたもんだ。小学校から帰ると、近所の駄菓子屋さんにアタリくじ付きの飴や、タバコの形をしたチョコレート、ま~るいおせんべいに、口の中が真っ赤になるゼリーを買いに行った。そんなものを食べてるから、晩ご飯の時、お茶碗に残る最後の一口が食べられない。「それっぽち、残さず食べなさい!」
「もったいないから残さない」それが当たり前、それが我が家の決まりだった。そのせいか、今でも焼き魚はきれいに食べるし、フタに付いたヨーグルトもきれいにナメまわす。その結果が、この突き出したお腹だ。

だから、農林水産省の資料には驚いた。平成22年の日本国内で流通されたいわゆる食品(野菜、肉、魚などの素材+加工食品)は、8,434万トン。その内の1,713万トンが食品廃棄物として捨てられたそうだ。およそ2割。大半が家庭用廃棄物で1,072万トン。食べ残し、買い過ぎて賞味期限切れ、まだ、食べられるのに捨てられたものなど。食品製造業、卸売業、小売業、外食産業などの、「食品関連事業者」が残りの641万トン。決められた規格から外れたもの、返品、売れ残り、食べ残しがその内容。
中でもいちばん驚いたのは、食品関連事業者641万トンの内の300~400万トンが、まだ食べられるのに捨てられている。家庭系廃棄物は200~400万トンで、合わせると500~800万トン。それは、ナミビア、リベリア、コンゴ民主共和国の3カ国の国内での1年間の食品の量の約600万トン(2009年)を上回る。

自動車や、家電はエコ、エコって騒ぐくせに、食べ物のことは、あまり言われない。どうしてだろう?ニッポンは「もったいない精神の国」じゃなかったの?

昔は、古くなったり、食べるのを忘れてしまったモノは、必ず臭いをかいだ。牛乳なんか、臭いをかいでも不安な時は、沸かしてみる。固まったら、飲んじゃダメのサイン。タマゴだってそう。割って黄身が崩れたら、食べちゃダメのサインだってオフクロから教わった。各家庭には、それぞれそんな見分け方があったはずだ。いつからか、それが「賞味期限」に変わった。お店で買うときも奥まで探して賞味期限の新しいのを買う。冷蔵庫に入れても賞味期限。誰が決めたかわからない日付を信じて、その日付の夜中の12時までなら大丈夫。日付を越えると廃棄物。「まだ大丈夫だよ。」って、2~3日過ぎたものを食べた日にゃあ~、周りから原始人扱い。う~ん、まだ絶対に食べられるのにもったいなくない?

eco-yy013image

食品メーカーは、賞味期限を「おいしく食べることができる期限」として設定している。それぞれの食品団体によって表示の仕方は異なるが、「ここまでは食べても大丈夫」は、消費期限で表示している。買った人がどのように食べるのかわからないので、食品メーカーの中には安全をみて、賞味期限の2倍は大丈夫な商品を作っているところもあるそうだ。たとえば、賞味期限が1年だったら、消費期限は2年。そんな商品が、流通では、賞味期限の1/3で返品になる。ということは?2年は食べても大丈夫な食品が、3ヶ月ちょっとで返品、廃棄になっているものがあるってことだ。
これって、エコじゃないよね。確かに食品の安全安心は必要だけど、その食べ物を作った人たちの苦労や手間を思ったら、もっと無駄なく食べようって思う。余った食品は、家畜の餌に再利用するからエコだ!って、ちょっと違ってない?

そこで、今まで、エコでやってきた電気をこまめに消したり、エアコンを28度に設定したり、エコバックを持って買い物に行ったり、それと同じように、食べ物にも気をつけてみませんか?それには、みんなでアマゾンの原住民になりましょう!!(裸でヤリ持って・・・ってワケではありません!)
まずは、「余計なものは買わない。」大きな冷蔵庫は必要ない。アマゾンの原住民は、食べる量だけしか獲物を獲らないそうです。「欲」は、自然を滅ぼします。
次に、「工夫して使い切る。」キャベツを丸ごと買ったら、朝はハムエッグと一緒に千切りキャベツ。その次の日はギョウザ、その次は、ロールキャベツと、工夫して芯以外は食べ切りましょう。原住民は、次にいつ獲物が獲れるかわからない。骨以外は食べちゃうし、骨まで道具にして使います。
「食べ残したら保存食。」干したり、たき火の周りの灰に入れて長持ちさせて食べるそうです。お刺身が残ったら、煮付けにしたり、燻製にしたり。コレが日本酒に合うんだ。
最後に「まず臭いをかぐ。」犬みたいにクンクンしてみる。賞味期限に頼らずにとにかく、自分の鼻で確かめる。野性の勘を信じてみましょう。そのかわり、少しでも変な臭いがしたら、すぐやめる。もし不安だったら家族みんなでクンクン。「ダメだよ」、「え~っ、まだ大丈夫だよ。」な~んて家族みんなで決めるのも楽しいかもね。

確かに、周りに食べ物がいっぱいあると幸せな感じがする。でも、地球温暖化、異常気象が心配されるこの時代。いつ食べられなくなるかわからないし、資源の無駄使いは許されない。現実に食糧難で苦しんでいる人たちはたくさんいる。ほんの少しの工夫で食品のエコが出来るなら、みんなで頑張りましょう!「ほんの少しの工夫」って、愛情のこもった美味しい食事をつくることも、残さず食べる大きなポイントだよね。

(記:加藤憲司)

ページの先頭へ