デジタル印刷(水性インクジェット印刷)を見学してきました
軟包装(フィルムパッケージ)の小ロットデジタル印刷で、パッケージデザインはもっと自由になる?!
“デザイナーたちのワクワクが止まらない”
◼︎株式会社シンク・ラボラトリーへ、デジタル印刷の見学に伺いました。
千葉県柏市にある株式会社シンク・ラボラトリーは、グラビア製版システムとデジタル印刷機の製造メーカーであり、印刷パッケージサービスの提供者としてのビジネスも行われています。
株式会社シンク・ラボラトリー 同社HPより
まずは記念撮影。水性インクジェットデジタル印刷についてのお話を伺いました。
代表取締役の重田様とJPDA調査研究の見学メンバー
「例えば紙などでは、デジタル印刷のフレキシブルな生産性がさまざまな方面で活用されていますが、軟包装(フィルムパッケージ)では難しかった。それを開発したのが、シンクの水性インクジェット印刷機【FXIJ】です。
版いらずで1枚から出力可能。さらに、有機溶剤を使わない水性インクジェット印刷は、グラビア印刷に比べて人や環境への負荷がとても少ないのです」(執行役員 高橋様)
水性インクジェットプリンター FXIJ type1000 FullAuto SP
実際にデモ印刷も見せてくださるとのことで、シンク・ラボラトリー社内に設けられたビジネスモデル工場を見学しました。
ビジネスモデル工場(BMF)
工場内には、水性インクジェット印刷機のほかパッケージ製造工程に必要な、ラミネート・スリット・製袋・シュリンクの機械が揃っています。
同社のデジタル印刷は、従来のパッケージ印刷(グラビア)と同じフィルムを使用でき、衛生面も管理されているため、食品の一次包装が可能。このモデル工場でパッケージが1枚から生産できます。
最初に撮った記念写真が、デモパッケージになって目の前で印刷されていて・・・驚きました。
FXIJのインクヘッドと執行役員 高橋様
記念写真がパッケージに!刷りたてほやほやです
印刷品質だって、グラビア印刷機に迫るほど。どちらがどちらか分かりますでしょうか。
グラビア印刷包材(左)とデジタル印刷包材(右)
さまざまな印刷サンプルパッケージたち
サイズや性能が実際のパッケージ同等のサンプルパッケージも印刷可能。チャック袋にもトップシールにも対応。一次包装可能ですから、工場ラインで充填だってできます。そのまま流通できるのです。
◼︎デジタル印刷で、パッケージデザインはもっと自由になるような気がしました。
パッケージ印刷(グラビア印刷)は、大量生産が前提です。小ロットだと、採算が取れません。一度刷ってしまえば、在庫がたくさんたくさんできます。
だからパッケージ開発は、万全に万全を重ねて調査調査・・・。よいアイデアだって、チャレンジのハードルはなかなか高いです。
それが、デジタル印刷を活用すれば、小ロットで生産できてしまう。少量を実際に市場に出して、反応をリアルに観察・・・なんてこともできるのです。
新しいパッケージは、まずはデジタル印刷で小ロット市場投入。消費者の反応を見極めて、グラビア印刷での大ロット生産に切り替えればよいのです。
文字違い、写真違いの可変印刷だってできます
「バリアブル印刷をいかして、一点一点違うデザインなんかも作れそう」「流通向け・EC向け・ドラック向けでデザインの可変もできるかもしれない」「イベント限定の極小ロットの印刷なんかも」「小さなお土産品だって、ラベル対応ではなくオリジナルパッケージにできるかも」・・・デザイナーたちのワクワクが止まらない!
なによりSDGsの時代に、作りすぎない判断ができます。廃棄のリスクを負わずに、環境にもやさしい。
パッケージの未来はどうなるんだろう?パッケージデザインに関わる我々は、変化する社会で何をしていくべきだろう?
価格高騰化する世の中で、市場へのクイックレスポンスを最大に発揮する次世代の軟包装ビジネスに大きな期待が持てるのではないでしょうか。
今回、シンク・ラボラトリーへデジタル印刷の見学に伺って、クリエイティブの力でこんなことができる!というアイデアを考え広めて欲しい、というメッセージを受けました。パッケージデザインの分野で、もっともっと活用していきませんか。
株式会社シンク・ラボラトリー 代表取締役の重田龍男様、執行役員の高橋永治様には長時間に及ぶ現場見学のご説明に加え、環境配慮の現状や事例まで丁寧にご説明いただき誠にありがとうございました。社員の方々にもご協力いただき感謝申し上げます。
(調査研究委員会:足立美津子、桑原麻理子[記]、桑 和美、小林絵美、鈴木樹子、福本佐登美)