ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザイン(UD)って?

その定義や歴史、背景をひもといてみましょう

ユニバーサルデザインの定義

ユニバーサルデザインという言葉、最近、耳にする機会も増えてきましたね。
そこで問題です。あなたはユニバーサルデザインの定義をきちんと答えられますか?
と言われると困る方がほとんどなのではないでしょうか。
そんなあなたに代わってお答えします。

ユニバーサルデザイン( UD )

① すべての人にとって、できる限り利用可能であるように、製品、建物、環境をデザインすることであり、デザイン変更や特別仕様のデザインが必要なものであってはならない。
(The design of products and environments to be usable by all people, to the greatest extent possible, without the need for adaptation or specialized design. ) The Center for Universal Design

② あらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方
障害者基本計画【平成14年12月24日 閣議決定】

③ すべての人が、可能な限り最大限まで、特別な改造や特殊な設計をせずに利用できるように配慮された、製品や環境の設計
JIS Z 8071 「 高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針」

実際に色々な解釈が入り乱れている感のあるユニバーサルデザインですが、言葉で定義するならばこの3つに行き着くのではないでしょうか。

①がUD生みの親と言われているロン・メイスのUD7原則に記されているUDの定義の翻訳です。カッコ内は原文。
②は日本政府の閣議決定、③はJISにおける解釈です。

◆JIS規格など「UDをとりまく法令や標準(規格)」も合わせてご覧ください
https://library.jpda.or.jp/pd_forest/ud/1905.html/

ユニバーサルデザインの歴史

ユニバーサルデザインという概念は古いものなのでしょうか?
いや、最近のことなんじゃないかな。そもそも、そんなこと考えたこと無いし。
そんな皆さんと一緒にUDの歴史を学んでみたいと思います。

ユニバーサルデザインという考え方が生まれたのは1980年代半ば、ノースカロライナ州立大学( USA )のロン・メイス氏がユニバーサルデザイン7原則を発表した時というのが定説となっています。

一般的に1950年代から60年代にかけて北欧を中心に起こった、身体的、精神的障害を持った人も健常者とともに可能な限りノーマルな生活を送る権利があり、その方向性で生活環境を整備していこうとする動きである「ノーマライぜーション」が始まり、同時期、アメリカ合衆国では主に建築物を対象として「バリアフリー」の考え方が生まれて世界へ広がっていきました。これらの考え方の根底には、乳幼児、高齢者、妊産婦、左利き、外国人など少数派であったり、アウトサイダーの人々の人権や、機会を守りながら社会環境を改善して行こうとの考えがあります。こうした流れの中で、1980年代に入ってユニバーサルデザインという概念が生まれてきました。

◆「ユニバーサルデザイン7原則」も合わせてご覧ください
https://library.jpda.or.jp/pd_forest/ud/390.html/

人類史上初の超高齢社会

こう言われてもぴんと来ない方も多いのでは?これはどこのことか、と言えば日本のことなんです。
2010年、日本の総人口に対して65歳以上が占める割合は23.1%、人数では2,944万人。

一般的に、65歳以上の人口が総人口に対し占める割合を持って、高齢化率と言います。高齢化率が21%を越えると超高齢社会と言われます。ちなみに23.1%と言う数字は堂々、世界一です。日本の場合、高齢化率が7%を超えて(この状態を高齢化社会と言います)から14%(高齢社会)に達するまでの所用年数がわずか24年で、他の先進国と比較すると(フランス115年、イギリス47年、ドイツ40年)恐るべきスピードで超高齢社会へと突入したことがわかります。

まさに人類史上初の超高齢社会です!!

今後の予測では、2033年には30%を越えるといわれています。3人に1人が65歳以上です。あらゆる場面で高齢者の身体特性を考慮したモノ造りが必要となってきます。そして大事なことは、高齢者専用の特別仕様ではなく、あくまでも高齢者も、子供もハンディキャップのある方も、誰もが同じよう使えることがユニバーサルであるということなのです。

65歳以上が高齢者と定義されますが、実際に人間の肉体的な老化現象は40歳ぐらいから始まります。特に視覚、目から来ます。近くにピントが合わない、ピントを合わせるのに時間がかかる、光をまぶしく感じる、などなど(経験者は語る)。

下の図は、日本の人口を20歳刻みでグラフ化したものです。40歳以上が56%で半分以上、2人に1人です。
高齢者と呼ばれるのはまだまだ先でも、若い頃のようにはいかなくなっている人たちが結構いる、ということも忘れないでください。


>>> ユニバーサルデザイン7原則

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