Vol.119「JPDA知財塾・開講報告」
知財塾の第1日目は塾生全員の参加のもと、「知的財産権全体をおさらいする」という広範な分野を、少人数という利点を生かして、講義の途中でも適宜質問を受ける方式を取り、単なる初歩編にならないよう、知的財産とは何かから説き起こされ、その保護の必要性、そして知的財産法についてと、その法律で護られる知的財産権に関わる各種制度・権利のポイントを整理しながら、パッケージに主軸が置かれたメリハリのある内容で進行できました。
実は、本文に掲載しています講師メッセージにもある通り、デザイン保護委員会では、過去に計4回の連続講座を知財塾として開講しています。少人数で講師を囲み、塾生からの日頃の疑問や問題点を率直に話し合い、意見交換やアドバイスを受けるなど、今回のベースとなる勉強会を実施しました。
(本ページ ■委員会ヒトコト通信 参照)
今回は2回目の試みとして、前回を第一期とすれば、第二期と位置付けられます。一期生からは2名の方が現在、デザイン保護委員会で委員として活動されています。
今後、二期生からもデザイン保護委員会への参加が実現することを委員会一同で願っています。
また、このレポートをお読みいただいた会員からの委員会参加もお待ちしています。
(2020年1月15日 編集・文責:デザイン保護委員会 担当 丸山 和子)
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情報発信
JPDA知財塾スタート・第1回は「おさらい知的財産権」
2019年11月26日(火) 講義時間15:00~17:30 その後30分の懇親会実施
会場:東洋インキ株式会社 大会議室(京橋エドグラン29階)
講師:永芳太郎弁理士/みずの永芳特許事務所 所長
塾生:13名
塾生の構成は、フリーランスデザイナー、法人所属のデザイナー(メーカー・コンバーター等)・教育関係となり、JPDAの法人会員/9名、個人会員/2名 ・非会員/2名となりました。
会場は、今回も東洋インキ株式会社様のご厚意で広々とした気持ちの良いスペースでの勉強ができましたこと、参加者へのご案内等お世話になりましたことを感謝いたします。
(講義風景) 東洋インキ株式会社 大会議室にて/京橋エドグラン29階
◆講義テキストは、第1回用の「おさらい知的財産権」と「JPDAデザイン保護ハンドブック」を使用しました。
(第1回講義テキスト)
(JPDAデザイン保護ハンドブック)
◆第1日目を終えて、これからの方向も含めた講師からのメッセージをお伝えします。
《 講師メッセージ 》
みずの永芳特許事務所 所長 永芳太郎
JPDAデザイン保護委員会の「知財塾」は、その前身が、2010年12月から2011年12月にかけて、当時「権利保護委員会」という名称だった現「デザイン保護委員会」によって計4回開催されています。前回の第2回から講師をお引き受けしていましたが、今回9年ぶりの「知財塾」の開催に際して、再度担当させていただくことになりました。
意匠法が、保護領域を広げ、創作者や創作されたデザインの保護を手厚くする方向に大きく改正されて、本年(2020年)4月に施行される良い機会でもあるので、ここで改めて知的財産を見直し、新たな意匠法も活用した積極的なデザイン展開をできるように、塾生の疑問を解消しながらなるべく多くの情報をお伝えしようと思います。
参加された塾生や、前回の塾生も加わっている運営する側の思いに応えて、様々な可能性を膨らませて行けると良いなと思いながら、優れた人物を輩出した松下村塾のように、この知財塾が次のステージに動き出すきっかけとなるように力を注ぎたいと思っています。
(永芳講師)
◆今回は4名の塾生に感想をお願いしました。以下にお伝えします。
《 第1回を終えて 》
株式会社GKグラフィックス 木村雅彦
情報技術の急速な発展やそれに伴う社会システムの変化は、大きくデザインの役割を変えつつあります。ここ数年、造形業務の枠組みを越えて、ブランドや経営、人材育成を包括する機会が増えつつあり、知財に関する知見が十分でないと適切な判断が難しくなっていると感じています。
それは、日々の契約やクリエイション、コンサルティングにおいて、自社のためだけではなく、クライアントや関係会社に不利益がなく、創造的な解決策を見出すためにその必要性を強く感じており、今回、参加させていただくことにしました。
先日出席させていただいた一回目の塾は、基本的な知財の知識を俯瞰した視点から構造的に説明いただき、とても理解しやすかったように思います。また先生や主催者のご配慮で、常に質問ができるオープンな講義であったため、参加者がそれぞれの現場で感じている課題を共有しやすく有意義な会でした。
次回以降は、初回の枠組みのおさらいから始めていただき、具体的な契約書の見方やおさえどころ、トラブルの回避方法や解決策、海外取引の注意点などについてご教示いただければと思っています。
《 「知財塾―デザインに関わる様々な方へー」に参加して 》
S・K (株)クラウンパッケージ 営業開発部 企画開発課
今回、私が知財塾に参加した理由は知財に関する知識をより深めたいと思ったからです。普段の業務の中で知財を扱うこともありますので、制度のおさらいから業務契約まで全3回に渡って受講できる知財塾は、法的基礎と知財関連業務を行っていく上でのポイントなどを、改めて学ぶ良い機会だと思いました。
実際に知財塾に参加してみると、少人数での講義となるので、ただ講師の方の話を聞くだけのセミナーとは違い、疑問に思ったことはその場で質問し解消していくことができ、参加者全員が同じペースで学習することができるので、「知財塾」という名前がぴったりの講義だと感じました。
第1回目の内容は知財の基本的な内容となるので、個人的には復習の要素が多かったですが、改めて基礎から学ぶことで気づけることや疑問に感じることなどもあり、有意義な講義となりました。また、意匠法改正の内容や新しいタイプの商標の内容など、新たに知ることもあり大変勉強になりました。
第2回は「デザインの受発注」に関する内容、第3回は「業務契約」と、実務的な内容が含まれた講義となってきますので、知財塾で学んだことをこれからの仕事に活かせるよう、残り2回の講義に参加したいと思います。
《 JPDA「知財塾(第1回)」に参加して 》
H.O. メーカー勤務 パッケージデザイン担当
「知財」と一言でいっても、その範囲は広大であり、また法律となるのでかなり専門的な内容を含むということがあらためてわかりました。
新規性のあるものをデザインしていなければならないのはもちろんですが、万が一世の中に既にあるものと似てしまった場合は事実を真摯に受け止め、誠意ある対応を専門家と一緒に進めていくことが肝要であると感じました。
具体的に、世の中で大きく問題になった著作権問題などを紐解いて解説いただくコーナーがあれば嬉しいです。今回「ひこにゃん」の件などはとてもわかりやすかったです。
また、それぞれの参加者が各自で知財に関する過去のトラブルなど(あれば)事例として共有するというのも良いかもしれません。
今回のように弁理士の先生にざっくばらんに直接質問できるのはとても良い企画かと思いました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
《 知財塾に参加して 》
デザインオフィス コハルデザイン 渡辺晴美
デザイナーとして、知財の重要性を感じてはおりましたが、一人ではなかなか深くまで踏み込むことができませんでした。知財塾の存在を知り、基礎から学ぶことができるとあり、初心者の私でも参加しやすいと思い受講させていただきました。
1回目を受講しましたが、知っているようで詳しくは知らなかったこと、普段の業務では直接関わらないけれども重要なことなど、大変勉強になりました。
講義中は質問がしやすい雰囲気で進行され、他の受講生の方の質問を聞けたことで、実際の現場でのリアルな問題を想定して考えることができました。
また、講義後に疑問に思ったことを先生に直接質問をさせていただき、貴重な機会をいただくことができました。残りの講義でもしっかりと勉強させていただき、知識を身につけて今後に活かしていきたいと思います。
このような塾を開催していただきありがとうございました。
講義後に設けた交流時間には更に質疑応答が続き、塾生同士、講師・委員会メンバーも含めた名刺交換も行われました。
(講義後の懇親会)
※掲載写真の撮影:デザイン保護委員/大谷啓浩、高林めぐみ
◆次回について
以下の「知財塾 講義テーマ」の第2回が、初日に続き、二日目の講義内容となります。
委員会ヒトコト通信
第一期JPDA知財塾の実施記録を改めて紹介します
初回は2010年12月9日(木)18:30〜21:00、講義内容は「著作権と個々の関連する問題」の解説で、以下の資料をテキストとして使用。
・JPDA知財塾のためのファイル
・著作権とは
・知財を扱った新聞の切り抜き集
・イラストをめぐる著作権侵害・判例2例の紹介とその読み解きガイド
会場は(社)日本デザイン保護協会(※)会議室を使用させていただき、講師は、同協会の日比野専務理事(当時)にご担当いただきました。 日比野専務理事が体調を崩され、急遽2回目以降は永芳弁理士にお願いすることになりました。会場は引き続き同じ会議室を使用させていただけました。
※現、(一社)日本デザイン保護協会。
以下のURLで、第Ⅰ期JPDA知財塾の第2回~第4回までの開催レポートをご覧いただけます。
※塾生は12名、各回に塾生からの感想文を掲載しています。
https://library.jpda.or.jp/wp-content/uploads/2020/06/Vol.20「JPDA知財塾」.pdf
第2回知財塾 ・キャラクターの種類と商品化権・著作権契約における注意点等
https://library.jpda.or.jp/wp-content/uploads/2020/06/Vol.25「続・デザイン保護の可能性と第三回知財塾報告」.pdf
第3回知財塾 ・パッケージデザインの保護・立体商標の概要と意匠登録の利用方法・ロイヤルティ契約の実際について
https://library.jpda.or.jp/wp-content/uploads/2020/06/Vol.29「第4回知財塾」.pdf
第4回知財塾 ・「1問1答」スタイルで、あらかじめ提出された塾生からの質問に向き合う。
◆講義内容の詳細も掲載しています。ぜひご覧いただければと思います。
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MAIL:info@jpda.or.jp