リサーチ & 研究報告

パッケージデザインの価値はどうなるか研究会
IV. その後の考察:Imagining a Future 2020

1.早くやってきた未来

COVID-19(新型コロナウイルス)の世界的な感染拡大で、人々は行動を変えざるを得なくなり、2020年3月に予定していた第3回研究会も、やむなく開催見送りに。テーマにしていた「サステナビリティとパッケージデザイン」については、委員会ワークショップでさらに考察を深め、機会を見て発表することとしました。

その間にも刻々と変化する事態、早くやってきた未来を注視しつつ、意見交換が進められました。
2020年以降、世界的には感染防止対策による行動変容が強いられ、ロックダウンなどで経済活動が停滞し、一時的にCO2排出量低下もありました。テクノロジーの社会実装はさらに進み、リモート○○は⽇常的に。その一方で、経済格差やBLMなど⼈権問題も浮き彫りとなりました。
日本国内でのパッケージ状況としては:巣ごもり消費での⾷品包装拡大/レジ袋の有料化始まる/紙パッケージへの注目/個装不要論がSNSで話題に/完全ラベルレス実現可能に・・・なども挙げられます。
 

2.サステナビリティとパッケージデザイン

パッケージそのものがサステナビリティに果たす役割には、CO2排出削減や3R(リデュース・リユース・リサイクル)を促進する仕様設計、また中身が食品であればフードロス削減への貢献といったものがあります。
パッケージデザイン、とりわけグラフィックでは、どのようにコンセプトを伝えるか、いかに魅力的な価値ある表現にしていくかも問われます。

2020年のワークショップでは、パッケージデザインにフォーカスしつつ改めてファクト収集からキーワードの整理を行いました。下記はその中のごく一部を抜粋したものです。

・ありがとう!プラスチック:過剰は避ける一方、衛生性など適切なプラスチック利用の恩恵に感謝!
・C2Cでは⽣活者も川上に:個人売買では生活者が販売者、単に梱包するだけではなく、パッケージデザインもより重要に
・ゴミの⾏き先を知れば⾃分事に:自分が捨てたゴミが最終的にどう処分/リサイクルされたかを知ると行動も変わる
・志もコミュニケーション次第:エシカルなものづくりはじめ事業者の高い志も、きちんと伝えられてこそ共感に
・量り売りがワクワクするパッケージ:自分好みに選べる前向きな量り売りに、パッケージでワクワクさが倍増!
・テイクアウトパッケージにデザインの⼒:営業自粛でテイクアウト注力のレストラン、パッケージがお店の顔に
・未知⾷の⼼的バリアにデザインの⼒:代替肉や昆虫食、未知の食べ物への抵抗感を減らすのにデザインが役割を果たす
・わかりやすさ/使いやすさの共感性:行動を促す〇〇しやすさ、ナッジ活用にはデザインの力が必要、行動して共感を生む
・セレンディピティの醍醐味:ふとした出会いや予想外の発見、そんな買い物の醍醐味にもパッケージデザインが一助に
・⼈⽣100年時代に⾃助⽀援パッケージ:長生きで体力低下や経済的不安も、安全・安心・安価な高性能パッケージに期待
・「⽇本⾷」が世界を救う?:ヘルシーかつ栄養バランスの良い食は世界で人気、SNSでの拡散にはビジュアルが大切
・mottECOにもってこいなパッケージ:外食時に食べきれなかった分を持ち帰る、持ち帰りたくなるパッケージの開発へ

*ナッジ(nudge:軽く突く):行動科学の知見に基づく工夫や仕組みによって、人々がより望ましい行動を自発的に選択するよう誘導する政策手法(経済産業省サイトでの説明)。2020年7月からのレジ袋有料化に先立ち、同年1月から経済産業省他でナッジを活用した実証実験が行われました。 https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200127002/20200127002.html

*mottECO(もってこ):環境省が2020年に実施した「NEWドギーバッグアイデアコンテスト」ネーミングの部で大賞に輝いた作品。このコンテストには、パッケージデザインの部もあり、受賞作品は環境省の食品ロスポータルサイトで公開されています。 http://www.env.go.jp/recycle/foodloss/contest.html
 

3.ワクワクする未来へ:Imagining a Future ~未来に思いをはせる~ 2020

これまでの研究会や再開したワークショップを通して得た気づき、それらを整理し、 2年に一度の包装業界の展示会「東京国際包装展ーTOKYO PACK 2021」(主催:公益社団法人日本包装技術協会、東京ビッグサイト、2021年2月24日ー26日)に、調査研究委員会としてブース出展し、包装・パッケージ業界の関係者に投げかけることとしました。
出展(セミナーにも登壇)にあたり、よりパッケージデザインへの展開をイメージしつつ検討を加えました。

上図のように、食に関する話題も盛り込みながらマップ化しました。イエローラベルのキーワードは、テーマの次元に幅はありますが、個々のキーワードに対する大きなくくりです。

サステナビリティを根底に置きながらその価値をデザインでどう⾼め、最終ユーザーである⽣活者にどのようにアプローチをしていくのか・・・「東京国際包装展ーTOKYO PACK 2021」では、具体的に「ワクワクする未来」を思い描き提案することとしました。幅広いアイデアの中からピックアップしたものが以下の12件です。

上図左側の6件は、イメージビジュアルを作成し、「東京国際包装展ーTOKYO PACK 2021」にてパネル展示をしました。次ページをご覧ください。

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