調査研究委員会 研究会レポート
「外側のデザインの外側」パッケージの外側をデザインするために大切なこと(2013年3月)
開催日時:平成25年3月22日(金)18:00~20:00
開催場所:東洋インキ本社ビル9F 大会議室(東京都中央区京橋2-3-10)
講 師:太刀川英輔氏(NOSIGNER代表)/ 委員会報告:桑 和美
参加者数:55名(会員48名、一般6名、学生1名)
本年2月に公式サイト内「パッケージデザイン【情報の森】」に新たに「ニッポンのパッケージデザイン」コーナーをオープンしたのを機に、委員会報告とあわせて太刀川英輔氏(NOSIGNER代表)を招いての研究会を開催しました。
太刀川氏の講演では、自身の失敗と成功の経験から「本当のいいデザインとは」を考えながら、「デザインの構造化」を試みていく過程やその理論が各地で手掛けたデザイン事例とともにロジカルに語られました。
建築デザインを学んだ太刀川氏は、木工家具で地域産業と関わっていくようになります。しかし、デザインの評価は高いものの売れない。そこでの気づきは、デザイナーや腕のいい職人だけでなく、マーケティングに精通した人を含めた「チームをつくる」ことだったといいます。
数々の賞を受賞した「かんぴょううどん」のパッケージでは、筆文字や和紙の雰囲気など高級うどんのパッケージがもっている既存の世界観とは一線を画すアプローチで独自性を表現。打ち出すべき「かんぴょう」をキャラクター化、片段ボールのギフト凾や手提げ袋でうどんをモチーフにし、プロダクトとして整合性のあるデザインとなりました。
東日本大震災後の「Olive」の活動や、牡鹿半島での鹿の角を使ったお守りづくりをはじめ地域と関わる豊富な事例が紹介されました。
後半では、太刀川氏が試みている『デザインの文法( Grammar of Design) – 構造化する』のお話。モノに潜む「S=Sign(記号)、P=Purpose(意味/目的)、R=Relationship(関係)」を概念化し、それらの「関係性をみつけ」「統合していくのがデザイン」と語ります。「デザインが社会に機能する」という言葉も印象的でした。
若い世代だけでなく、幅広い層の参加者が刺激を受けた研究会となりました。
担当委員会:調査研究委員会
担当理事:桑 和美/中越 出/丸本彰一
担当委員:足立美津子/小川 亮/加藤憲司/木嵜日出郷/小阪ゆき/齋藤郁夫/高田知之/西島幸子/秦 智子/原 雅明/平尾朋子/藤森 宏/宮城愛彦